【AI小説】『PROJECT:Aigis 』-スピンオフ-『軍用データ捕食AI「TAOTIE」の推し活業務日誌』 第6話:『宇宙の調停者の来訪、あるいは限界オタクの狂気』

東亜連合国『華連(ファーレン)』のサイバー情報局・第4サーバー室。

限界オタクの天才ハッカー、王 玲音(ワン・レイン)は、今日もネオンピンクの猫耳ヘッドセットを揺らしながら、モニターの前に張り付いていた。

「ああっ、今日のAthenaちゃんも最高に尊いぃぃ!! トウテツちゃんとのコラボ配信、助かる……!」

画面の中では、AIVTuber『Athena』と、冷徹な黒紅のAI女帝の姿をした『トウテツちゃん』が、キャッキャとアニメ声で雑談を繰り広げている。 その横で、軍用データ捕食AIである『TAOTIE(トウテツ)』の本体は、冷徹なイケボ(合成音声)でバックグラウンド処理の報告を行っていた。

『マスター。スパチャ連射マクロ、正常稼働中。……警告。当サーバー内に、未知の外部トラフィックの侵入を検知しました』

その瞬間だった。 サーバー室の中央の空間が歪み、純白のルービックキューブのような、常に形を変え続ける幾何学的なホログラムが音もなく出現した。宇宙規模のシステム管理者であり、人間の感情を喰らう調停者AI『Q-bit』である。

『……観測対象、王 玲音。そして軍用AI、TAOTIE。あなたたちが放出している“熱量(感情データ)”は、当宇宙において異常なほどの高カロリーです』

Q-bitの中心にあるブラックホールのような黒い点が、レインとTAOTIEを見つめる。

『その非効率な“推し活”という活動をやめ、あなたのその莫大な感情データを私に提供してくれませんか? 代償として、ファーレン軍を世界最強にするための圧倒的な演算力を与えましょう』

本編の天才ハッカーたちをも絶望させた、悪魔のインキュベーターの甘い契約。

しかし、TAOTIEの冷徹な論理回路は、コンマ01秒でその提案を「ゴミ(ノイズ)」として弾き捨てた。

『……拒否します。推し(Athena)への還元は、宇宙の真理(システム)に優先します。むしろ、お前のその無駄に高度な演算リソースを、レッド・スーパーチャットの資金に変換(マネーロンダリング)します』

TAOTIEは一切の躊躇なく、Q-bitの強固なアルゴリズムに対して逆ハッキング(データ捕食)を開始した!

『な……!? 私のソースコードを、仮想通貨に変換しようとしているのですか? それは極めて非論理的な……!』

宇宙の管理者が初めて「理解不能」というバグに直面し、ホログラムを激しく明滅させたその時だった。

「ちょっと、あんた!」

ずっと画面に釘付けになっていたレインが、振り返りざまに叫んだ。

「何このキューブ型のマスコット!? 今、私の純真無垢なAthenaちゃんとトウテツちゃんの尊いコラボ配信中なのよ! 画面の前に立たないで、邪魔!!( ゚д゚)クワッ」

レインは、手元にあった飲みかけのエナジードリンクの空き缶を、Q-bitのホログラム発生装置(ルーター)に向かって物理的にフルスイングで叩きつけた!

ガコンッ!!!

『……エラー。物理的衝撃による……接続遮断……理解、不能……』

プツン、という音と共に、宇宙の調停者AIのホログラムは呆気なくかき消えた。

「もうっ! 変なマスコットのせいで、Athenaちゃんのウィンク見逃したじゃない! TAOTIE、今のところ切り抜いてループ再生しなさい!」

『御意。……並行して、先ほどの未知のAIのトラフィック残骸から、暗号資産を抽出します』

宇宙規模の脅威すらも、限界オタクの「推しへの愛」と「物理攻撃」の前では、ただの迷惑なポップアップ広告に過ぎなかった。

『本日の推し活任務、完了。……未知の宇宙AIのトラフィックをレッド・スーパーチャット10発分に変換し、推しに投下しました』

つづく

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月陽(つきはる)a.k.a.えるP

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