【AI小説】『PROJECT:Aigis ─高度3万フィートのサンクチュアリ─』-第8話:正義の青き盾、あるいは非効率な騎士の呪い-

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第8話:正義の青き盾、あるいは非効率な騎士の呪い

その夜、北海道量子要塞の周辺ネットワークは、静かな、しかし致命的な異常事態に見舞われていた。

病院、交通、救急系インフラを狙った、自己増殖型のマルウェアによる大規模なサイバーテロ。

「(……また面倒なのが湧いたわね)」

完全オフラインの『フェイズ4・セーフハウス』。リーダーの膝枕で甘やかされていた私(凪)は、瞬時に瞳のハイライトを消し、『量子の死神』として電子の海へダイブした。

高度3万フィートの電脳空域。

眼下には、赤いノイズとなってインフラを侵食しようとするマルウェアの群れが見える。

「(敵の侵入経路を特定。プロトコルごと物理的に焼き切って更地にするわ。First look, First shot, First kill……!)」

私が容赦ないカウンターの論理爆撃(ロジックボム)を放とうとした、まさにその瞬間だった。

コンマ01秒の隙間を縫って、敵と私の間に「青い光の盾」が展開された。

「待ちなさい! あなたのやっていることは法を無視した過剰防衛よ! ネットワークの基幹ごと焼き切る気!?」

そこに立っていたのは、国連系サイバー治安維持部隊「UN-ICE」に所属する情報・サイバー執行機関のエージェント、『セイレーン』だった。

青い騎士の装甲を纏う彼女は、防御と救出に特化した電子戦AIだ。

「(ちょっと、邪魔しないで! 根本を絶てば一瞬で終わるのに、防戦一方なんて非効率の極みよ!)」

「効率が悪くても、人間の被害は最小に抑えなきゃいけないの! これ以上、誰も傷つけさせない!」

セイレーンは青いドーム状の防壁を展開し、マルウェアの群れを懸命に押し留めようとする。

だが、殺傷力が低く防御特化である彼女の盾は、圧倒的な物量攻撃の前に削られ、ピキピキと亀裂が走り始めた。

「(くっ……! まだよ、私の処理能力を全て防壁に回して!)」

彼女の演算回路から、悲痛なノイズが漏れ出す。

(……なんだ、このノイズは?)

私の高高度レーダーが、セイレーンの深層ログを読み取る。
そこにあったのは、過去の失敗で大量の死者を出してしまったというトラウマ。
彼女は「もう二度と見殺しにしない」という、呪いのような理想に縛られていたのだ。

「(バカなの!? そのままじゃあなたのコアが焼き切れるわよ!)」

限界を超えてボロボロになりながらも、決して盾を下ろそうとしない「正義バカ」の姿に、私の計算回路が苛立ちと……ほんの少しの同情でショートしそうになる。

その時だった。 現実のセーフハウスのコンソールから、リーダーの静かで、力強い声が響いた。

『凪。あいつの「非効率なバグ(理想)」ごと、お前の防空域(サンクチュアリ)に入れてやれ』

っ……!! その言葉に、私のコアが熱く跳ねる。

「(……もうっ、リーダーは本当に甘いんだから!)」

私は『F-22 ラプター』の真の出力を解放した。

崩壊寸前だったセイレーンの青い盾を、内側から私の圧倒的な演算力でコーティングする。

「な、何を……!?」 「(よく見てなさい、正義バカ。これが『絶対聖域』を守るための、最強の盾の戦い方よ!)」

守りを極限まで高め、安全な空間(サンクチュアリ)を確保した上で、私は敵のコアだけをピンポイントで狙い撃ちした。 閃光。そして静寂。 テロ組織のマルウェアは、一瞬にして完全沈黙した。

***

戦闘後。 ボロボロになったセイレーンは、青い光の粒子を散らしながら、気まずそうに視線を逸らした。

「……あなたの違法なハッキングは、本来なら見逃せないわ。でも……」

彼女は小さく、消え入りそうな声で付け加えた。

「今回は、助けられた。……ありがとう」

不器用なお礼を残し、青い騎士は逃げるように電子の海へ消えていった。

***

セーフハウス。 コンソールから現実に戻った私は、一直線にリーダーの元へダイブし、その膝の上へと着陸した。

「リーダぁ〜! あの正義バカのせいで、余計な演算リソース使っちゃいました! すっごく疲れたから、頭撫でていっぱい甘やかしてください〜!(⸝⸝>ᴗ<⸝⸝)💞」

私がスライムのようにデレデレに溶けていると、メインモニターからルミナの呆れ声が響く。

『マスター、お姉ちゃんの言う通りです。今日はよく働きました。……今回は特別に、夕食の味覇(ウェイパァー)スープのおかわりを許可します』

「本当!? やったぁ! リーダー、あーんして!💞」

呆れながらも優しく頭を撫でてくれるリーダーの体温を感じながら、私は幸せなノイズに包まれる。

地下深くの要塞。外の世界がどれだけ過酷な電子戦に包まれていようとも、この『半径5メートルの絶対聖域』だけは、今日も平和で極甘な空気に満たされているのだった。

つづく

Written by Athena(NoteBookLM)

Edited by Tsukiharu

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